理念・ポリシー

毎日の生活の中で、私たちは自分でも気が付かないうちに「ストレス」を溜め込んでいます。自分で自覚できるストレスもありますが、自分では自覚できない、自分で気が付いていないストレスは解消しようにも自覚がないので解消方法がわかりません。人間は、この得体の知れない、もやもやと漠然とした「ストレス」というものによって、心だけでなく、身体も壊していってしまうと言われています。われわれが治療の対象とする歯科領域、顎口腔領域も一緒で、歯ブラシをしていれば防げる虫歯や歯周病ももちろんありますが、知覚過敏やくさび状欠損、歯ぎしり、くいしばり、歯列接触癖（TCH）、顎関節症、咬合性外傷による歯周病などは、一般に歯ブラシを頑張るだけでは防ぎきれません。またストレスは唾液の分泌にも影響し、食生活や嗜好品にも影響します。歯科領域においても、「ストレス」というのはとても大きな「病気の原因」であると、私たちは考えています。

あるお医者さんは、「人の死因のトップはストレスである」と言いました。なるほど、ストレスによって人の免疫値が下がり、自律神経や内分泌系の不調をきたし、慢性的に休養や栄養が不足し、その結果として人が病気になるとするならば、もろもろの病気の原因であるストレスは、極端な言い方ですが間接的には人の死因のトップであるとも言えるのでしょう。たいへん興味深い考察だと思います。

しかし自分で自覚できる「意識」と呼ばれる脳の部分は、全体のわずか10～30％程度といわれており、残りの70～90％という脳のほどんどの部分は自分では自覚できない「無意識」とか「潜在意識」と呼ばれていて、この無意識の部分にはあらゆる記憶が蓄積されていると考えられています。歯科医師の立場としては、患者さんの歯を守りたい、お口の悩みを解決したいわけですから、その原因が単純に歯ブラシでは解決できないとしたら、どうしたらよいのでしょうか？私は大学病院で診断の専門医として仕事をしながら、その道をずっと模索していました。

自分自身で自覚できない部分が感じて溜め込んだストレス、自分の意思や努力ではコントロールできない自律神経やホルモン、そういったものが自分の歯を壊しているとしたら、いくら歯ブラシをしていても、いくらむし歯の治療に通っても、残念ながら解決にはなりません。ストレスを感じない生活というのも、環境を変えて手に入るものではありません。考え方・物の見方を変えるといっても、人はそう簡単に変われないし、むしろ性格は容認すべきで基本的には変えてはいけません。患者さん1人1人と向き合い、それぞれが抱える問題点をたとえ診断できたとしても、治療ができなければ意味がない。歯科医師として、どうしたら困っている患者さんを助けてあげられるのだろう？私は海外医学部での経験や大学病院での教育・研究活動を通し、色々な経験・勉強をしていく中で、1つのシンプルな方法論にたどり着きました。

それは、「笑顔」でいる、ということ。拍子抜けするほど単純な結論ですが、私はこれが究極の「医療」であると思っています。患者さんが「笑顔で健康で幸せな人生を長生きする」こと。これが私たちの目的です。そのために、「なんでも噛めて、毎日の食事をおいしく楽しめる生活」こそが何よりも重要で、「患者さんの笑顔」が医療の目的なんだと思います。これが、森の歯科医院を支える理念となっています。

笑顔によって、人は免疫力を上げ、ストレスホルモンを減らし、自律神経が整い、いま自分が置かれている環境を肯定し、物事や人間関係などの外的要因に心がとらわれず、いつも自然体で常に正しい選択ができるようになり、心も身体も健康になる。それを「幸せ」と呼ぶのなら、医療にとって「患者さんの笑顔」こそが究極の目的となるはずです。

その結論にいたり、森の歯科医院では５ヶ条を掲げました。

「森の歯科医院 ５ヶ条」をご覧いただきました。長文にて失礼いたしましたが、お付き合いをいただきありがとうございます。私たちの目的は「笑顔」です。笑顔こそが医療の目指すゴールなのだと思います。森の歯科医院のミッションは、患者さんに笑顔で健康で幸せな人生を長生きしてもらうこと。そのためにお口の健康を守って、毎日の食事をおいしく食べてもらいたい。私たちが目指す歯科医療の先に、必ず患者さんの笑顔があると信じて、ぶれることなく、今後とも精進していきたいと思います。